2008年10月に発足した四つの政府系金融機関を統合してできた日本政策金融公庫の国際金融業務部門。対外的な名称としては、統合以前の名称である国際協力銀行を引き続き使用している。日本政策金融公庫に統合される前の国際協力銀行は、1999年に日本輸出入銀行と海外経済協力基金の統合によって発足した全額政府出資の銀行であり、企業の輸出入や海外事業を対象とした投融資や、発展途上国向けのODA(政府開発援助)業務を営んでいた。このうち、ODA業務は国際協力機構(JICA)に移管され、国際金融業務のみが日本政策金融公庫に合流した。合流後しばらくの間、国際協力銀行は先進国向け事業への投融資から原則として撤退する方針で運営されてきたが、2010年6月に菅直人内閣がまとめた「新成長戦略」にインフラ輸出の促進が盛り込まれ、それを支援する狙いで国際協力銀行による先進国向け投融資の対象事業が拡大されるなど、再び業務範囲が拡大されつつある。さらに、政府・民主党は国際協力銀行を分離・独立させ、政府全額出資の特殊会社として投融資機能を強化する方針であるともいわれており、公的金融肥大化が再び懸念される。