2011年中に日本国債に対する格付けが相次いで引き下げられたこと。アメリカの格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、11年1月27日に日本の長期国債の格付けを「AA」から「AA-」へ1段階引き下げた。同じくアメリカの格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、8月24日に「Aa2」から「Aa3」へ1段階引き下げた。さらに、日本の格付け会社である格付投資情報センター(R&I)も、12月21日に最上位の「AAA」から「AA+」へ1段階引き下げた。日本の格付け会社が日本国債の格下げを行うのは初めてのことであった。相次ぐ格下げにもかかわらず、国内のデフレ継続に伴う将来の低金利持続期待に加えて、ヨーロッパソブリン危機(ギリシャから始まり、スペインやイタリアにまで波及したユーロ圏国家の破綻危機)による日本国債への資金シフトもあり、日本国債の市場価格は高水準(利回りは低水準)で推移しており、長期金利の指標である10年物国債利回りの11年末値は0.980%であった。もっとも、日本の国債発行残高がGDP対比で欧米諸国よりもはるかに高いのは事実であり、日本にとっても財政再建が緊急の課題である。