規制薬物取引、盗品売買、脱税など犯罪に絡んで得た資金を金融機関の偽名口座に隠したり、多くの口座を転々とさせたりして、その出所や所有者を分からなくする行為。1980年代後半から世界的な麻薬問題への取り組みの中で問題視されるようになり、89年7月のアルシュ・サミットでマネーロンダリングに関する金融作業活動部会(FATF)が設立され、90年4月にはFATFから、マネーロンダリングを犯罪として取り締まること、疑いのある取引の届け出を義務付けることなどの「40の勧告」が提言された。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロを契機として、テロ対策としてもマネーロンダリングが重視されるようになった。日本では、1992年から2000年までは「麻薬特例法」、00年以降は「組織犯罪処罰法」に基づいて、金融機関に対して資金洗浄(マネーロンダリング)の疑いのある取引の届け出が義務付けられている。また、07年1月からは、現金でのATM(現金自動預入払出機)振り込み限度額が1回当たり10万円に引き下げられ、10万円を超える現金での振り込みを行う場合には、窓口にて本人確認書類を提示することが義務付けられている。なお、02年2月に金融監督庁(現金融庁)の下に設置されたマネーロンダリングに関する特定金融情報室は、07年4月に国家公安委員会へと移管された。