東日本大震災の被災地において、大震災の発生以前からローンを抱えていた事業者や個人が、大震災からの復興のために必要なローンを新たに借り入れることによって返済負担が極端に重くなる問題。政府・経済産業省(中小企業庁)が主導して岩手県を皮切りに設立されている産業復興機構は、金融機関からの新規融資を条件として既存のローンを買い取るものであり、再生の可能性があると判断された事業者を主たる対象としている(予算規模は各県合わせて2000億円)。また、2011年11月に自民党・公明党などの主導により東日本大震災事業者再生支援機構法が国会で成立し、同法に基づいて設立される再生支援機構が、小規模、農林水産、医療福祉など比較的再生の見通しが立ちにくい事業者の抱えるローンを重点的に買い取る方針である(予算規模は5000億円)。したがって、東日本大震災後の二重ローン対策は産業復興機構と再生支援機構の二頭立てで進められることになるが、両機構とも、金融機関がローンを売却しやすくするように買い取り価格を柔軟に設定する方針であり、2次損失の発生覚悟での被災者救済が企図されている。