聖典(コーラン)および預言者ムハマンドの生活慣行・規範(スンナ)から構成されるイスラム教の教義・思想であるシャリア(「人の道」の意味)に則った金融取引であり、イスラム圏外の世界における通常の金融(コンベンショナル金融)と対比される概念。イスラム金融全体の資産規模は2012年末で約1兆6000億ドルに達する。イスラム金融では、融通するお金に対して利息(リバー)を取ることは禁止されている。また、投機的な取引(ガラール)は詐欺的な行為とみなされている。さらに、豚肉、アルコール、武器、賭博、麻薬、ポルノ関連などを資金使途とする取引は非倫理的であるとしてできない。イスラム金融の基本的取引としては、「ムラバハ」(商品代金にマージンを上乗せする形での商品売買の延払い金融)、「イジャーラ」(リース形態での機械設備や船舶などへの金融)、「ムダラバ」(事業への投資とそれに対する配当という形でのプロジェクト金融)などがある。イスラム金融は、主として湾岸諸国や東南アジアのイスラム諸国において発展を遂げてきたが、近年では非イスラム圏の主要金融機関も子会社などを通じてイスラム金融に相次いで参入している。