通常の金融では顧客とみなされないような貧困層を対象として少額の貸付・預金・保険などの金融サービスを提供する仕組み。このうち融資のみを指して、マイクロ・クレジットと称することもある。マイクロ・ファイナンスは、貧しい人々が農漁業や家内工業などの事業を自ら営むことによって生活が自立できるように促すことを狙いとしている。マイクロ・ファイナンスは、歴史的には15世紀イタリアのフランシスコ教会による慈善事業にその起源を求められるといわれているが、19世紀から20世紀にかけてヨーロッパ諸国で発展した信用協同組合や、日本の江戸時代に盛んに行われた無尽(頼母子講)も、マイクロ・ファイナンスの一形態といえる。1983年にバングラデシュで政府認可の特殊銀行としてムハマド・ユヌスによって設立されたグラミン銀行は、(1)女性を中心とした貧困層のみをメンバーとして融資を行う、(2)担保はとらないがメンバー5人のグループで連帯して返済に責任を負わせる、(3)メンバーは毎週開かれる集会に参加し、生活改善のための自己啓発に努める、などの特徴ある活動を行い、バングラデシュの貧困問題の解決に寄与したとされている。