本人死後の葬儀費用の工面や家族への財産相続を円滑にするために信託銀行などが提供している信託契約。例として、三菱UFJ信託銀行の「ずっと安心信託」、三井住友信託銀行の「家族おもいやり信託」などがある。通常の遺言代用信託では、親が財産を委託する委託者となり、その信託財産から利益を得る受益者として妻や子供を指定する。生前に受益者や金額をあらかじめ決めておくことによって、委託者が望む形での相続を実現する一助となる。また、委託者の死亡時には、金融機関の預金口座はすべて凍結されてしまい、その解約には死亡診断書に加えて、相続人全員の同意および印鑑・印鑑証明書をそろえる必要があるなど多大の困難を伴うが、遺言代用信託であれば受益者が比較的簡単な手続きで信託財産を一括して受け取れるので、当座の葬儀費用などを工面するのにも便利である。遺言代用信託には、受益者が信託財産を一括して受け取れる「一時金型」のほかに、定期的に年金として受け取れる「年金型」とがあり、委託者と受益者が同一人であっても構わないので、委託者生存中の年金として利用することもできる。