年金基金などの機関投資家から株式や債券などの有価証券を預かり、それらの売買取引に伴う決済や配当・利子の受け払いなどを代行する資産管理(「カストディー」と称される)業務を営む銀行。この分野の先進国であるアメリカでは、1974年の「従業員退職所得保障法 (ERISA エリサ)」制定に伴いマスタートラスト(複数の企業年金プランや複数の投資マネージャーを管理するために設定される単一の信託契約)が発展したことから、複数の企業年金プランの資産管理を一元的に行い、複数の投資マネージャーのパフォーマンスを測定して委託先に報告するマスタートラスト業務を中心にしてバンク・オブ・ニューヨーク・メロンやステート・ストリートなどの大規模資産管理銀行(「グローバル・カストディー」と称される)が出現した。日本では、2000年代に入って、資産管理サービス信託銀行(みずほ系列)、日本トラスティ・サービス信託銀行(三井住友トラスト系列)、日本マスタートラスト信託銀行(三菱UFJ 系列)の3行体制に集約されたが、06年3月末時点での信託財産規模は各行とも140~240兆円と、グローバル・カストディー(同2000兆円台)とはけた違いで、大差をつけられている。なお、17年に入って、資産管理サービス信託銀行と日本トラスティ・サービス信託銀行が系列を超えて事業統合を目指すと報道されている。