敵対的買収に対する防衛策の一つであり、ライツ・プランともよばれる。前もって市場価格より安く株式を買い取る権利(ライツ)を既存株主に与えておき、敵対的買収を仕掛けられた際にその権利を発動させる。発動後は買収者の持ち株比率が低下するため、買収を達成するためにはさらに株式を買い集める必要があり、それには膨大なコストがかかる。ターゲット企業を飲み込むと毒が回り、買収が困難になることからこのような名でよばれている。ポイズンピルはアメリカで発明され、1980年代に多くのアメリカ企業が採用したが、実際に発動された例はほとんどない。日本では、プロセス制御・計測機器などを製造するニレコが、2005年3月に初めてポイズンピルの本格導入を発表した。「セキュリティ・プラン」とよばれるこの防衛策は、1株に対して2個の新株予約権を発行し、持株比率20%以上の株主が現れた場合に権利行使を出来るようにするというものであった。ところが、この発表に対し、同社の大株主である投資ファンドが株主価値の希薄化を恐れて新株予約権の発行差し止めを申請したため、結果的に同社は「セキュリティ・プラン」の中止を決定した。ポイズンピル以外の代表的な買収防衛策として、敵対的買収者よりもよい条件で友好的に自社を買収してくれる企業を探すホワイトナイト(white knight)や、買収を仕掛けられた企業が買収者に対して逆に買収提案を行うパックマン・ディフェンス(Pac-Man defense)、敵対的買収によって経営陣が解任された場合に巨額の退職金を受け取るという契約を結ぶゴールデンパラシュート(golden parachute)があげられる。