企業が役員や従業員に対して、一定数の自社株を一定価格(行使価格)で購入できる権利を与える報酬制度をいう。企業の業績が向上して株価が上昇した際に、権利を行使して当該価格で自社株を購入し、市場で売却すると報酬(キャピタルゲイン)が得られる仕組みになっている。株価の上昇が経営者や従業員の利益と結びつくため、会社の業績向上に向けてのインセンティブとなるほか、現金を拠出することなく優秀な人材を確保できる等のメリットもある。その半面、経営陣のモラル低下、新株発行方式による株式価値の希薄化といったデメリットも存在する。またストックオプションによる報酬は企業が直接的に従業員に支払うわけではなく、株式市場を経由して間接的に支払うことから、従来は費用計上されてこなかった。しかし会社法の施行にともなって、2005年12月に公表された「ストックオプション等に関する会計基準」の適用も開始され、いわゆる費用計上の義務化が求められるようになった。この会社法の施行にともない新株予約権の付与が可能になるとともに、06年度における税制改正により発行会社側の税制も整備されることとなった。具体的には税制不適格で損金への参入が不可能であった1円ストックオプションが損金算入可能となり普及するようになった。