一般に企業統治と訳される。企業がその目的に照らして適切に経営されるように監視・けん制する仕組みのこと。従来、日本では間接金融システムのもとで、メーンバンクが主として経営者を監視・けん制するメーンバンクシステムが機能してきた。しかし、直接金融システムへの移行が本格的になるにつれ、株主によるガバナンス・システムを採用する企業が増えてきた。また、株式相互持ち合いの解消や外国人投資家の増加、敵対的TOB(株式公開買い付け)、企業不祥事の頻発などにより、ますます加速する傾向にある。なお日本では、取締役の職務執行を監査する機関として監査役が置かれてきたが、2002年商法改正によりアメリカ式のガバナンス・システムである委員会等設置会社(現委員会設置会社)が導入されており、ソニーやオリックス、野村證券などもこのシステムを採用している。取締役の入れ替えを議論する指名委員会、役員報酬の基準や額を決める報酬委員会、業務を監督・監査する監査委員会の3委員会を置くアメリカ流の企業統治機構が特徴となっており、各委員会の委員の過半数を社外取締役にすることが条件となっている。10年3月期からは、役員報酬の総額のほか、支払い形態や報酬額決定方法の有価証券報告書への掲載が、金融庁により義務付けられた。