企業同士が相手の株式を相互に保有すること。日本で株式持ち合いが広く行われるようになったのは、1964年にOECD(経済協力開発機構)に加盟し、その規約に従って資本自由化を行うことになって以降である。当時の日本企業は外国資本による乗っ取りに対する危機感を強く持っており、産業界からの要請によって商法280条が改正され、特定の第三者への割当増資が取締役会の決議だけでできるようになった。この結果、第三者割当増資を利用して安定株主工作や株式持ち合いが盛んに行われるようになったのである。しかし、会計基準の変更により、2002年3月期から持ち合い株式に対して原則、時価評価が適用されたため、株式持ち合いを維持することが困難となり、持ち合いは徐々に解消されていった。というのも、持ち合い株式に関する時価評価差額は純資産の部に計上され、含み益のある企業は、純資産の部の増加によりROEが低下するためである。しかし、近年では新日本製鐵、住友金属工業、神戸製鋼所のケースやトヨタ自動車、松下電器産業(現パナソニック)のケースなど、株式持ち合いが復活してきている。こうした背景には、企業間の連携を強化するというねらいのほか、敵対的買収の脅威から身を守るための安定株主工作という企業側の意図も見え隠れする。