証券取引所と同様に、コンピューター・ネットワーク上で機関投資家など多数の取引参加者による株式や債券の売買注文を付け合わせる仕組み。証券会社によって運営される点が伝統的な取引所とは異なり、取引所に代わる取引の場という意味でATS(alternative trading system 代替的取引システム)とよばれることも多い。1969年にアメリカで開設されたインスティネットがその嚆矢(こうし)とされ、90年代後半、主としてナスダック市場で取引シェアを拡大した。日本では、取引所類似施設として禁止されていたが、98年の証券取引法改正で解禁された。その後の法改正を受けて、機関投資家向けの債券取引を中心に複数のシステムが利用されている。株式取引での利用は、東京証券取引所の市場が効率的であることもあって進んでいなかったが、2006年9月には、カブドットコム証券が、個人投資家向けの夜間取引PTSを開設したのに続き、07年6月、SBIジャパンネクスト証券がPTS業務の認可を取得した。海外では、電子取引所アーキペラゴがニューヨーク証券取引所と合併し、インスティネットの国内株部門アイネットがナスダックに買収されるなど、取引所との融合も進んでいる。