株券を廃止し、振替決済機関における口座管理簿の記載を株主権の根拠とすること。2004年6月に成立した社債等振替法の改正に盛り込まれ、09年1月に全国の上場会社の株券が一斉に廃止される見通しである。株券などの有価証券は、権利の譲渡を容易にするために考案されたが、半面、紛失、盗難、偽造などのリスクがあり、受け渡しや保管のコストも大きい。そこで、近年、情報技術の進歩で有価証券の保有に関するデータの集中管理が可能となったことを背景に、券面を廃止して電子データで置き換える電子化(ペーパーレス化)が進んでいる。日本の株式は、1991年から証券保管振替機構(ほふり)による振替決済の対象とされているが、あくまで機構が株券を保管する仕組みであり、株主は株券を引き出して自ら所持することができる。株券廃止後は、現在の株券は無効となるので、一斉廃止日までに証券会社等を通じて機構への預託を行っておくことが不可欠である。