証券取引所や株式店頭市場といった市場の運営者が、自市場の取引拡大をめざしてお互いに競争すること。市場間競争を通じて、市場全体の効率性が高まると考えられている。アメリカでは、1975年の証券法改正にその精神が盛り込まれ、日本では、98年の金融ビッグバンにともなう証券取引法改正で本格的に促進されることになった。以前から、東京証券取引所(東証)と大阪証券取引所(大証)が、企業の獲得や先物取引をめぐって競争するといった現象がみられたが、この改正で、株式店頭市場が取引所市場と対等の市場と位置づけられる一方、取引所会員に対して上場証券の取引所での売買を義務づける取引所集中原則が撤廃され、取引所外取引が可能となった。これを受けて東証や大証が、立会外取引制度(機関投資家の大口取引などを通常の立会取引とは異なる方法で円滑に執行するための仕組み)の見直しや上場基準の緩和といった措置を打ち出す一方、地方取引所の整理統合も進んだ。また、各取引所が設置した新興企業向け市場間の上場企業獲得競争も活発化している。今後、国際的な市場間競争の中で、日本の取引所がどのような戦略を打ち出すのかが注目されている。