厳格な上場基準に基づく上場審査を行う伝統的な証券取引所の株式市場とは異なり、緩やかな上場基準を設定し、設立間もない企業による成長資金の調達を可能にしようとする株式市場。アメリカのナスダックが一つのモデルであり、1990年代後半には、ヨーロッパでもイギリスのAIM(alternative investment market)、フランスのヌーボー・マルシェ、ドイツのノイア・マルクトなど、新興企業向け市場の開設が相次いだ。日本でも、99年6月にナスダックがソフトバンクと共同でナスダック・ジャパン市場を開設する構想を発表したのを機に新興企業向け市場ブームが起き、東証マザーズ、大証ナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)、名証セントレックスなどの市場が開設された。新興企業向け市場の緩やかな上場基準は、新たな産業の育成につながる半面、事業基盤や組織が確立していない企業が株式を公開するため、投資家の投資リスクも大きい。また、一部の不心得な経営者による不祥事も後を絶たず、市場運営者による企業獲得競争の過熱を問題視する向きもある。