もともとは、ひとつの銀行の破綻が預金引き出し(取り付け騒ぎ)などを通じて他の銀行の破綻に連鎖していく事態のこと。さらに、銀行以外の金融セクターの発展とともに、近年では1987年のブラックマンデー(アメリカ株式市場の急落)、98年のLTCM(Long Term Capital Management、当時のアメリカの大手ヘッジファンド)破綻、2007年以降のサブプライム問題の際に発生したような金融・証券市場全体の急激な機能低下・不全に陥る事態のこともさす。08年10月のG7終了後の記者会見で、白川方明日銀総裁は「システミック・リスクの顕在化を防ぐことが非常に大事な課題だ」と述べている。サブプライム問題とそれに端を発する世界的な金融危機の震源地となったアメリカでは、ヘッジファンドなども含め、その1社が経営危機に直面すれば金融システム全体がパニックに陥る可能性が大きい大手金融機関をシステミカリー・インポータントな金融機関として位置づけるとともに、金融システム全体の安定性維持の観点から、業態や連邦・州のレベルを越えて監督規制を行う仕組み(システミック・リスク・レギュレーター)を導入する動きが始まろうとしている。