グローバル企業による国境を越えたM&A(企業の買収・合併)のこと。取引金額が10億ドルを超える大型案件だけに注目しても、世界のクロスボーダーM&Aの件数と取引金額は、1999年から2008年の10年間の合計で1799件・7兆3763億ドルに及ぶ。これらのほとんどは、ヨーロッパの通貨統合と会計基準の統一を受けたヨーロッパ域内での業界再編や、欧米の国内市場成熟を背景にした欧米グローバル企業同士のM&Aなどが中心で、同時期における日本企業のクロスボーダーM&Aの大型案件の合計は73件・1955億ドルと、世界全体の4%に過ぎなかった。ただし、未曾有の少子高齢化と本格的な人口減少による国内市場の成熟化や、金融危機の影響などを受けて一層激化するグローバル市場におけるシェア獲得や収益性向上といった国際競争に対応を求められる日本企業にとっては、今後、とくに経済成長が著しいアジアにおけるビジネスの本格的開拓を目的としたM&Aに、これまでにない取り組みが求められよう。実際に08年から09年における日本企業によるアジア企業に対する大型クロスボーダーM&Aは2.2兆円にのぼり、06年から07年の1.7兆円に比べると増えている。