一般に、地方自治体の地方税以外の歳入源の一つで「一会計年度を越えて負う債務」が地方債だが、そのうち市場売買を想定し有価証券として発行されるもののこと。地方債証券のことを単に地方債と呼ぶ場合もある。地方債証券は、金融機関などに引受先を限定して発行される銀行等引受債と、市場を通じて多様な投資家から資金を調達する市場公募債がある。地方債は従来、財政融資資金や郵政公社資金、公営企業金融公庫資金といった公的資金により過半が賄われてきたが、財政投融資改革や政府系金融機関改革などの影響で、地方債における公的資金の役割は今後縮小の傾向にあり、民間資金、なかでも市場公募債の拡大が期待されている。実際に、毎年の地方債発行額全体に占める市場公募債の割合は、1995年度の8.7%から2007年度には31.8%と大きく拡大を続けている。今後も市場公募債の安定的拡大を続けるには、地方自治体の財政運営・状況に関する適時・正確・明瞭な情報開示や、公会計制度・監査制度の充実や地方自治体の格付け取得増加、IR活動の積極化などを進めることで、個人や外国人など新たな投資家層の開拓を図っていくことが急務であろう。