多くの投資家から集めた小口資金をひとまとめのファンドにして、専門家が分散投資を行い、その成果を投資家に還元する仕組みのこと。「小口」「専門家」「分散投資」が投資信託の三つのキーワードとも言われている。未曾有の速さと水準で少子高齢化が進行すると同時に、本格的な人口減も始まっている日本の国民にとって、今後は低成長・低金利を基調とせざるを得ないとした場合、また、アジアなどの新興国の成長の果実も享受したいとした場合、資産運用の対象に国内外の有価証券(株式や債券など)をこれまで以上に検討する必要性が生じよう。投信理論や実証分析などから、有価証券での運用は分散投資を行うことが基本の一つとされるが、自ら分散投資を行うには一般に多額の資金と高度な専門的知識・情報を要するという大きな課題が立ちはだかる。小口の投資資金でも、また、必ずしも専門的な知識や情報インフラを持っていなくても、分散投資を可能にする現実的な金融機能が投資信託である。年金や医療費、教育費などに自助努力が強く求められるようになったアメリカでは、1980年代以降投資信託が着実に増加・普及を続けており、90年代半ばに定期預金の残高を追い抜いて、現在に至っている。