一般の企業が発行する債券のこと。ワラント債(新株引受権付き社債)などを含めない一般の社債を普通社債とも呼ぶ。企業の負債調達には原則、銀行借り入れ(間接金融)と社債発行(直接金融)の二つの方法があるが、他国に比べて、日本企業は銀行借り入れへの依存度が高く、社債の利用度が低い。例えば、アメリカでは多くの大手企業で銀行借り入れはほとんど行われず、社債が負債の大半なのに対し、日本では2006~08年度に普通社債を発行したのは282社と上場企業全体の1割未満で、大多数の企業で負債の大半を銀行借り入れが占める。アメリカでは格付けがBBB未満の企業が発行する社債(ハイイールド債)市場も発達している一方、日本では社債発行が高格付け企業に事実上限られていることなども背景にある。08年秋の金融危機で一時混乱した日米欧の社債市場はいずれも09年には回復し、むしろ例えば日本では11年ぶりに10兆円超の発行額、アメリカでは発行額全体に占めるハイイールド債の割合が近年で最高水準、ヨーロッパでも初の社債発行を行う企業の増加など、金融危機の悪影響が残り自己資本比率引き上げなどの規制強化も検討されている銀行からの借り入れに対して、社債への期待がむしろ強まっており、今後の一層の拡大が注目される。