金融機関の財務状態の悪化に備えて発行される債券のことで、自己資本が一定水準を下回るなどの条件(トリガー条項)が満たされると自動的に普通株式に転換されるもの。CoCo債(Convertible Contingent Bond)とも呼ばれる。2009年12月、イギリスのロイズ・バンキング・グループが、約75億ポンドのコンティンジェント・キャピタルを、発行済みの優先出資証券などとの交換を通じて発行し、関心を集めた。シカゴ大学のラグラム・ラジャン教授など、大手金融機関へのコンティンジェント・キャピタル発行義務付けを提唱する専門家は、大手金融機関にとっては通常時の過剰自己資本を抑制できること、また、規制当局にとっては金融機関自らによる財務強化能力が高まることで公的資金による救済必要性を抑制できること、などをメリットとしてあげている。ただし、適切なトリガー条項の設定や、普通株式転換に伴う発行済株式の希薄化、さらに、投資家にとっては株価低下局面での株式強制転換があり得るリスクの大きさなど、課題の指摘もある。グローバルな金融規制強化の流れの中で、金融機関の自己資本の質の向上などを求める主張があるが、コンティンジェント・キャピタルがそれに応える手段となり得るか注目される。