利子やギャンブルなどを禁忌(ハラーム)とするイスラムの教義(シャリア)に則った金融の手法のこと。原油高に伴う中東イスラム圏の富の増大、またマレーシアを中心とするアジア諸国におけるイスラム人口の巨大さなどから、日本でもイスラム金融に対する関心が高まった。イスラム金融ではイスラム銀行預金、イスラム保険(タカフル)、イスラム債(スクーク)、イスラム・ファンドなどがハラームを避けながら、イスラム投資家に組成・提供される。なかでも、金利の概念が発生しないように設計される債券であるスクークは、2006年以降、マレーシアやアラブ首長国連合(UAE)などの中東諸国で市場が急拡大した。非イスラム圏の企業や機関、例えばオランダのネスレやアメリカのGEキャピタル、世界銀行傘下の国際金融公社、日本のトヨタファイナンシャルサービスやイオンクレジットサービスなどがスクークを発行した実績を持つ。なお、09年11月にUAEのドバイ首長国の政府系企業における、スクークを一部含む債務返済について信用問題が浮上(ドバイ・ショック)、同年12月に同じくアブダビ首長国が事態の収拾に乗り出すという事態が生じ、世界の市場で広く話題を呼んだ。