銀行の財務上の健全性確保のために1988年7月にバーゼル銀行監督委員会で合意された規制のこと。分子を銀行の自己資本、分母を銀行の貸し出しなどの資産に一定の掛け目をかけたリスクアセットとした比率を、国際的に活動する銀行には8%以上、海外支店がない銀行は4%以上を要求する。日本では93年3月末から適用された(バーゼル1と呼ばれる)。その後、銀行のリスクをより緻密(ちみつ)に見積もるバーゼル2が、日本では2007年3月末から適用された。さらに、08年11月に今般の金融危機再発防止を目的にワシントンで開催された主要20カ国・地域(G20)による提言に基づいて、バーゼル2の一層強化がこれまでにないスピードで議論されている。例えば、規制計算上の自己資本の中核部分として普通株式と内部留保を一層重視すること、自己資本比率の最低水準を引き上げること、好況時には引き上げた最低水準にさらに積み上げを求めることなどが方向性として打ち出され、日本の大手銀行の大幅増資の必要性の有無、新規制への移行期間の長さなどが証券市場で広く高い関心を集めている。拙速な新規制移行は貸し渋りなどを誘発しかねないとして反対意見も少なくない。