公的年金制度の財政方式の一種で、高齢世代に対する年金支払いに必要な財源を、その時点の現役世代の掛け金で賄う方式のこと。社会全体で子から親へ仕送りする仕組みと言える。一方、各世代が自らの将来の年金財源を現役時にあらかじめ積み立てておくのが積立方式で、自分が払った掛け金が自分に戻ってくる仕組みである。日本の公的年金制度は賦課方式に基づく。「高齢世代数」×「1人あたり年金支給額」≒「現役世代数」×「1人あたり所得額」×「掛け金(保険料)率」と単純化できる賦課方式は、少子高齢化が進展すれば、年金支給額の引き下げや掛け金率の引き上げが必要となる。日本の場合、急速な少子高齢化に加え、人口減少も始まり、労働力の低下を通じたGDP(国内総生産)の停滞とともに、所得水準の停滞も予想され、公的年金制度の動揺は一層深刻化しよう。このため、人口動態に左右されない公的年金の財源として消費税がふさわしいという意見が近年台頭している。なお、例えばスウェーデンでは、賦課方式一辺倒の財政方式を1990年代に改め、国民一人一人に個人勘定を割り当てる積立方式を部分的に導入、公的年金制度への人口動態の影響の軽減を図った。