家計が保有する金融資産のこと。個人金融資産と呼ぶ場合もある。日本では日本銀行が作成している資金循環統計から引用される数字を指す。その残高(2009年末)は総額で約1452兆円、国民1人あたり約1139万円といずれも先進5 カ国中2 位を誇る。他の先進国の家計金融資産と比較した場合、日本は預貯金の占める割合が55%と突出している一方(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツはおのおの14%、29%、29%、38%)、株式や債券投資信託といったリスク資産の割合が最低の13%である(同じく各国はおのおの35%、14%、25%、27%)。こうした預貯金は金融機関が大量の国債を購入する原資となり、家計が実質的に日本国債の過半(54%と試算)を保有すると言われるゆえんとなっている。ただし、日本の家計金融資産は、働いて貯蓄する人が減り、引退して貯蓄を取り崩し消費する人が増える少子高齢化の進展で、現状のままでは今後、減少局面に入る見込みである。家計金融資産を減少させない方策としては、70歳まで退職年齢を引き上げることや、アジアなど新興国への有価証券投資を通じた高い経済成長の果実(株式配当や債券利子)の取り込みなどが提言されている。