株主全員に新株予約権(ライツ、一般的に時価より安く新株を買う権利)を無償で割り当てる増資方法のこと。ライツ・イシュー(rights issue)とも呼ばれる。増資に応じる株主は予約権を行使して現金を払い込み、株式を取得する。増資に応じたくない株主は権利行使しない新株予約権を市場などで売却する。日本で普及している公募増資や第三者割当増資と異なり、新株を取得する権利が既存株主に優先的に与えられ、増資に伴う既存株主の持ち分希釈化が回避できることから、既存株主の権利とコーポレート・ガバナンスに配慮した増資方法として注目されている。例えば、ロンドン証券取引所では2009年増資額の7割を占める一方、日本では法制上可能であるが、実施例はほとんどなかった。金融庁は新成長戦略実現に向けたアクションプランでライツ・オファリングの円滑かつ適切な形での実施が必要とし、同年11月に設けられた開示制度ワーキング・グループでの議論を踏まえ、目論見書の交付方法の弾力化や有価証券の引き受けの範囲の見直し、継続開示書類が提出された場合の訂正届出書の取り扱いの見直しなど、実務上の負担が重く普及の障害とされる関連諸規制の弾力化・見直しを図るとしている。