欧州委員会が2011年11月に公表した、格付け会社に対する規制強化の法案のこと。欧州委員会は、いわゆる金融危機の引き金になったサブプライム住宅ローン問題の原因の一つとして、格付け会社が証券化商品などに過度に高い格付けを付与していたことを注視。その対策として、これまでに格付け会社に対して、当局への登録義務や格付け手法の開示などの規制を導入してきた。しかし、さらなる規制強化を目的に、ソブリン格付けの透明性向上とタイムリーな格付け付与、投資家の過度な格付けへの依存の解消、格付け会社の利益相反と寡占状態の解消、格付け会社が規制上の責務を果たさなかった場合などの民事責任の強化、の四つの分野からなる法案を公表した。とくにEU(欧州連合)の規制当局による、指針・勧告・規制の細則における格付け参照の義務付けを禁止することや、格付け会社による、同一の発行体に対する格付け付与を3年間に制限(ソブリンは対象外)することなどが盛り込まれており、法案の成立は投資家に新たな調査体制を求めたり、格付け会社経営に大きな悪影響をもたらしたりすることが必至だ。法案は、欧州議会と欧州連合理事会で議論される予定である。