増資公表後、新株等の発行価格決定までの間に空売りした場合には、増資新株による空売りポジション解消を禁じること。2011年8月に金融商品取引法施行令と内閣府令が改正され、同年12月より施行された。増資公表企業の株価を空売りで下落させ、さらに、一般的に時価より低く発行価格が決まる新株を取得して空売りポジションを解消し利益を上げようとする行為は、増資に応じなかった既存株主の保有株式を必要以上に希釈化(ダイリューション)させ得る。09~10年の複数の大型公募増資案件の経緯を契機に、金融庁は「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」(10年12月)に「公募増資に関連した不公正な取引への対応」を盛り込んでいた。なお、公募増資については、親引け(発行会社が指定する販売先への売り付けのこと)の制限などの緩和を、日本証券業協会の「募集株券等の配分に係る規制のあり方に関する検討分科会」が「配分ルールのあり方について」という報告書を12年1月にとりまとめ、新株の配分先を引受証券会社が発行企業に開示することを条件に提言を行い、今後さらに具体化する予定である。