道路や空港などの交通・輸送関連施設や、上下水道や発電所、パイプラインなどの公益・エネルギー関連施設といった、地域住民の生活向上や経済発展に必要とされるインフラ事業に対する投資のこと。近年、欧米の先進国を中心に、年金基金などの機関投資家で拡大している。長期にわたり資金運用・給付を行う年金基金は、一般的に需要安定性・独占性が高く、料金もインフレ連動で引き上げられる場合も多いインフラ事業を、長期かつ安定したリターンとインフレ・ヘッジをもたらす有望な投資対象として認識する。一方で、財政問題に直面して、インフラ事業の民営化を促進せざるを得なくなった各国政府の動きがあり、双方の事情が合致して生じている動きとも言える。なお、同じインフラ投資でも、事業開始後から安定需要が見込めるまでの初期段階の方が、事業が軌道化し需要が安定する成熟段階に比べてハイリスク・ハイリターンとされる。日本でも今後、年金基金が退職給付会計基準の改定で、企業会計上の積立不足を一層重視した運用方針にシフトせざるを得ない一方、政府・自治体が財政健全化に向けての動きをますます強めざるを得ないことに鑑みると、こうした動きが拡大することが期待される。