投資家が保有する複数の銘柄や資産を組み入れた投資資産の集合体のこと。欧米で昔、有価証券の束を持ち運ぶ(ポート)フォルダーのことをポートフォリオと呼んでいたことが語源。投資の基本的かつ重要な考え方に、特定の銘柄や資産の種類に集中投資することは避け、できるだけ異なった動きをする(低い相関関係を持つ)多数の銘柄や多様な資産に分散投資し、投資資産全体の価値の変動(リスク)をコントロールし、できるだけ安定したリターン(収益)を目指すことがある。これをポートフォリオ運用と呼ぶ。経済・市場の環境変化や企業業績の変動などで特定の銘柄や資産の価格が低下しても、他の銘柄の値動きで相殺できることを活用する。分散投資を原則とする投資信託の運用担当者がポートフォリオ・マネジャーと呼ばれるゆえんでもある。ポートフォリオ運用の理論的フレームワークたるポートフォリオ理論は、1952年に当時シカゴ大学の学生であったハリー・マルコビッツ(Harry M. Markowitz 1927~)の博士論文に始まり、現代の投資理論・金融工学の基礎として位置づけられる。マルコビッツはその後、90年にシカゴ大学教授として、同論文を始めとするポートフォリオ理論の形成への貢献が評価され、ノーベル経済学賞を受賞した。