証券会社等が投資家(顧客)から受託した注文を取引所市場に回送(発注)せずに、自己勘定注文と、あるいは、顧客注文同士で対当させ、約定させる仕組み。取引所外取引のひとつ。取引参加者が匿名で、気配情報が一般には公表されず、価格や注文量などの取引内容が外部から見えにくいことから「ダークプール」の呼び名が付いた。見えない流動性(Dark Liquidity)と呼ばれることもある。アメリカの株式市場では、2000年代にティック・サイズ(呼び値)の縮小によって大口注文の執行が困難になったことや、レギュレーションNMS(全国市場システム規則)の導入によって市場間競争が激化したことから、注文情報の匿名性が確保され、約定率や約定単価の改善が期待できるダークプールの利用や証券会社による店内化(Internalization、証券会社内部での注文の付け合わせ)が拡大した。日本でも、外資系証券会社などが機関投資家に対してダークプールのサービスを提供している。ダークプールについて、金融庁は取引所の立会外取引に持ち込み、その上で約定させるよう義務付けたことで、取引内容が事後的に開示されることになった。