社会的課題の克服のための資金調達手法。非営利団体(NPO)等のプログラムに関して、自治体・中央政府ではなく、投資家が事前に費用を拠出(投資)し、その課題の克服度合に応じて自治体等が投資家に投資リターンを支払う。例えば、ある自治体では、元受刑者の再犯率を10%低下させるプログラムを検討しており、そのための費用が100万ドルと見込まれるとする。プログラム開始前は、実際に再犯率を10%低下させられるか否かは定かではないため、自治体としては、成果が確実には見込めないプログラムに公金を投入することは躊躇(ちゅうちょ)されよう。SIBを用いれば、前もって100万ドルを外部の投資家から集めることができる。プログラムが実際に再犯率を10%低下させることに成功した場合、自治体が100万ドルを投資家に支払う。更に、再犯率が15%低下した場合、自治体は、100万ドルを上回る金額(例えば120万ドル)を投資家に支払う。目標水準に達しなければ投資家への支払いがゼロとなる仕組み、または目標を下回った割合に応じて投資家への支払いが低減する仕組みも可能である。SIBには、社会的課題が深刻化することに伴う財政や市民の負担・コストを低下させると同時に、自治体・中央政府の財政コスト低下とリスクヘッジを可能とする効果があると考えられる。