金融機関のストレステストとは、金融監督当局主導で、共通のシナリオの下、金融機関に対して一斉に資本や流動性の十分性の検証を行う制度。マクロ・プルーデンスという、金融システム全体のリスクの状況を分析・評価し、それに基づいて制度設計・政策対応を図ることを通じ、金融システム全体の安定を確保するための政策上、重要な機能を果たしている。以前は、個別の金融機関ベースで行われるミクロ・ストレステストが中心であったが、世界的な金融危機後、その再発防止を目的に、金融市場の流動性低下・金利上昇、経済成長率の低下、失業率の上昇といった困難な経営環境のストレスシナリオを想定し、金融機関に対する一斉検証に重点が置かれるようになった。ストレステストに不合格となった金融機関には、資本増強の要請や配当・自社株買いの制限といった措置が講じられる。また、金融機関が破綻状態となるシナリオを検証するリバース・ストレステストも実施されている。