欧米においてMMFとは、短期の国債やコマーシャルペーパー、譲渡性預金等といった満期までの期間が短い金融商品で運用する投資信託のことを指す。価格変動リスクが抑えられており、換金性に優れているという点で、日本のMMF(money management fund; マネー・マネジメント・ファンド)よりもMRF(money reserve fund; マネー・リザーブ・ファンド)に近い性質を持つ。MMFは投資家の短期資金運用ニーズと企業等の短期資金調達ニーズの間に立って支える役割を果たしており、2016年11月末時点でアメリカ国内における資産運用残高は3兆ドルを超え、金融システム上、重要な存在となっている。MMFは、投資家から価格の安定性を期待されている分、一度その点に疑義が生じると大量・同時解約が発生し、保有する資産の売却を余儀なくされる。実際に08年のリーマン・ショック時には、一部のMMFで元本割れが生じたことが、金融システム全体の不安定化に繋がった一因とされている。その後、こうした事態の再発を防止する目的で、欧米では一部のMMFに対して、従来固定されていた基準価額(固定NAV)を時価変動させること(変動NAV)を求める規制が策定・導入されている。