他者の信認に応えるべく一定の任務を遂行する者(フィデューシャリー)が負うべき幅広い様々な役割・責任の総称として欧米等で用いられている概念。金融分野においては、顧客の資産を託される投資アドバイザーや投資マネージャーに対して、顧客(インベストメント・チェーンの最終受益者を含む)の最善の利益(ベスト・インタレスト)を第一に行動することを求める意味で使われる場合が多い。アメリカではエリサ法によって企業年金加入者の保護を目的に導入されている。日本では金融庁が、金融機関による顧客の利益にかなう業務運営を通じて、国民の安定的な資産形成の実現を目指し、フィデューシャリー・デューティーを「顧客本位の業務運営原則」として位置付けている。従来のルール・ベースでの取り組みが事実上のミニマム・スタンダードとなっているという反省に立ち、この原則ではプリンシプル・ベース(原則主義)での対応を金融機関に求めている。顧客本位の金融商品・サービスを創意工夫して競い合うことが期待されているといえよう。