企業の公表前の内部情報が第三者に提供される場合には、その情報が他の投資家にも同時に提供されることを求める公平・公正な情報開示のあり方のこと。欧米においては、企業(発行者)が内部情報を第三者に対し選択的に開示することは、市場に対する投資家の信頼を損なうとして、発行者に対する規制が導入されている。日本でも、海外投資家からの指摘や未公表の情報をもとに勧誘を行った証券会社への行政処分事案をきっかけに、導入に向けた検討が行われている。フェア・ディスクロージャーのルール化には、企業による情報開示の早期化や、アナリストによる分析・推奨の質の向上等の意義があると考えられており、企業や投資家、規制当局には対話を通じて実例を積み重ねながら情報開示のベスト・プラクティスを探り、市場に定着させていくことが期待されている。一方で、新たな規制が設けられることで企業の情報開示への取組みが消極化するのではないかという指摘もあり、ルールに関する関係者の啓蒙活動や対話を促進する環境整備を進めていくことが必要とされている。