社債権者保護の強化を図る制度のこと。現在、日本における社債権者保護の役割は会社法で規定された社債管理者が担っているが、その権限や責任の範囲が不明確である点などが問題として指摘されており、実際に機関投資家向け社債では会社法の例外規定を用いて社債管理者を設置しない社債が多く発行されている。しかし、日本の社債市場の発展には低格付社債も含めた発行・流通の拡大が必要とされており、日本証券業協会のワーキング・グループ等で議論された結果、社債権者補佐人が考案され、制度枠組みが策定された。社債権者補佐人の業務は、社債にかかわる事務手続きや債権の保全等に関するサポートであるが、特に重要な業務内容として社債のデフォルト後の債権保全・回収に関する社債権者のサポートがある。法的な裏付けが不十分といった課題も残されているが、日本の社債市場の拡大・発展に向けて、社債市場関係者が新たな市場慣行を形成するための制度として期待されている。