IMF(国際通貨基金)はその貸出資金を、加盟国からの出資に依存しているが、一時的な資金不足に対応するため、先進11カ国(G10とよばれる)からIMFが資金を借り入れる一般借入取り決め(GAB General Arrangements to Borrow)を締結していた。しかし1994年のメキシコ危機の後、IMFが将来巨額の金融支援を余儀なくされる可能性が高まったとの認識が強まり、95年のG7のハリファックス・サミットでG10とその他の金融面で強い国に対してGABを拡大することが要請された。97年1月にはIMF理事会がNABの創設を決定し、98年11月に正式発足した。NABは従来のGABとともに設置されており、これによりGABとNABを合わせた資金量は340億SDR(約490億ドル)と従来のGABのほぼ2倍となった。NABには26の国や地域が参加しており、従来の先進11カ国のほか、韓国、香港、シンガポール、タイ、マレーシアなどのアジア諸国が多数参加している。NABは98年12月のブラジルに対する資金援助において初めて発動され、127億ドルの貸出枠が設定され41億ドルが使用されたが、99年3月には同年1月に決定されたIMFの45%増資が払い込まれたことから、全額が返済された。