SDRは、二つの意味を持っている。第1はIMF(国際通貨基金)加盟国相互間の資金融通制度であり、第2は価値尺度としての1SDRである。SDRの配分は、実質的に各加盟国が他の加盟国から資金を借り入れるクレジット・ラインの設定を受けることである。そしてSDRの使用とは、典型的にはSDRを外貨準備に余裕がある他の国に引き渡し、対価としてドルなどの自由に交換可能な通貨を受け取り、それを対外支払いの決済に用いることである。このようにSDRを使用できる権利の裏側として、各国はSDRを一定限度まで受領する義務を負っている。SDRの使用には、IMFのその他の資金融通制度とは異なり、国際収支が赤字の国であれば制限がない。なおSDRを使用しドルなどの通貨を受け取っても、通常の借り入れと異なり通貨を引き渡してくれた国に対してその通貨を返済する義務はなく、IMFに対し金利を払い続ける必要があるだけである。SDRを使用した国が、後に他の国から同額のSDRを受け取ると、金利を払う必要がなくなり、実質的に返済を行ったことになる。
SDRの価値は、当初は実質的に米ドルで表示されていた。しかし1974年からは、SDRは複数の通貨で構成される通貨のバスケットで定義されるようになり、今日ではドル、円、ユーロ(以前はドイツマルクとフランスフラン)、イギリスポンドの4通貨からなるバスケットにより定義されている。SDRの金利は、現在SDR構成通貨の市場金利の加重平均値が適用されている。SDRは、過去2回IMF出資比率(quota)に比例して配分が行われたが、81年以降は行われておらず、その後IMFに加盟した途上国や東欧諸国は配分を受けていない。このため全加盟国に平等にSDRを配分する1度限りの特別配分が行えるようにするため、97年の総務会でIMF協定の改正が決議された。その後大多数の国が批准したが、2006年8月末現在では、実質的に拒否権を持つアメリカの批准待ちの状態にある。