自国の重要な企業を海外のファンド等による買収から保護しようとする動き。従来から、各国では外資による企業買収に対する抵抗があったが、国家資産運用基金の登場で警戒感が強まっている。高水準の資源エネルギー価格や中国の巨額の経常黒字持続などで、産油国や中国などの外貨準備や国家資産運用基金の規模が、今後急速に拡大することが予想されている。すでに主な国家資産運用基金の残高合計は2.5兆ドルと、ヘッジファンドの残高を超えると推定されている。こうした巨額の資金を持つ国家機関は、サブプライムローン問題で資本不足に陥った金融機関に対して出資を行い注目されたが、今後は、先進国の戦略的に重要な企業を買収することも考えられ、将来金融摩擦が拡大することが懸念されている。実際、2005年8月に、アメリカ議会は中国海洋石油(CNOOC)による米石油大手ユノカル買収に介入し不成功に終わらせた経緯があるが、中国は国家資産運用基金や、それと提携するアメリカのプライベート・エクイティ・ファンド等を通じて今後、再びアメリカ企業に触手を伸ばす可能性があるとみられている。