自国通貨を廃止して、米ドル現金を国内で直接流通させることで、為替相場の変動を完全になくす通貨政策。アルゼンチンが1999年1月にこれを検討すると発表したことで注目され、2000年4月にはエクアドルがIMF(国際通貨基金)の支援を受けて自国通貨スクレを米ドルに置き換えるドル化を実施した。米ドル自身を自国通貨とするため、為替相場の切り下げは起こり得ない。しかしこの通貨政策を採用すると、通貨発行益を得ることができないという問題がある。独自の自国通貨を発行している場合には、中央銀行は銀行券という無コスト資金の調達が可能で、これを債券や外貨などで運用して、かなりの利益(通貨発行益)が得られる。しかし米ドルなどの外貨を国内で流通させると、独自の銀行券を発行すれば得られた通貨発行益を失う。この場合通貨発行益は、アメリカの中央銀行である連邦準備制度が受け取る。