自国通貨の下落は、長期的には貿易収支や貿易・サービス収支を改善するのが普通であるが、短期的にはむしろこれらの収支を悪化させることが経験的に知られている。この調整過程を、収支を縦軸、時間を横軸にとってグラフに描いた形状からJカーブ効果とよぶ。一般には、自国通貨の上昇が、短期的には貿易・サービス収支を好転させることについても、Jカーブ効果とよぶ。円の下落が、短期的にはむしろ円で測った貿易収支を悪化させる理由は、日本の輸出入の数量や輸出の円建て価格は、円が下落してもすぐにはあまり変化しないのに対し、輸入の円建て価格は円安により短期間で上昇する結果、輸入の円金額が短期的に増加する傾向があるためである。しかし長期的には、円の下落は輸出数量を増加させる一方、輸入数量を減少させ、貿易収支を徐々に好転させる。