アメリカの住宅ローンの一部で、従来は住宅ローンの借り入れが困難であった低所得層や所得の不安定な層への住宅ローン。貸し倒れのリスクが高いため、信用度の高い人が借り入れるプライムローン(prime mortgage)よりも適用金利がかなり高い。アメリカの不動産価格は2000年ごろからカリフォルニア州やフロリダ州などで上昇率が加速し、それに伴って住宅関連貸し出しが拡大していった。その過程で、従来は借り入れが困難であった、低所得層や所得の不安定な層への貸し出しが、相当拡大した。これは不動産の担保価値が上昇するに従って、債務者の個人所得よりも、不動産の担保価値に注目した審査が行われるようになったからである。またこの過程で、将来の不動産価格の上昇を見込んだ、相当無理な返済計画に基づく貸し出しが行われるようになった。住宅ローンの返済方法についても、当初2年ないし3年間は低金利が適用され、その後金利が大幅に上昇するタイプのローンが主流であった。これを借りる人たちは、低金利が適用される期間にしっかり返済しておけば、審査基準になる返済実績が改善するうえ、不動産価格が上がれば住宅の担保に余力ができるために、適用金利が低いプライムローンに借り換えることが可能になるという楽観的な見通しがあったからである。こうしたアメリカ版土地神話が生んだ不良債権問題は、多くの面で日本の不良債権問題に似た構造を持っているといえる。アメリカの大手金融機関は、住宅ローンを担保にした証券を投資家に売りさばくことで資金調達を行っている。サブプライムローンを証券化した有価証券は、アメリカだけでなくヨーロッパなどの世界各地の金融機関や投資家に販売されていた。このため、アメリカの不動産価格低下に伴うサブプライムローンの貸し倒れ損失は、スイス、イギリス、フランスなど世界中の金融機関の体力を低下させ、世界的な金融危機を発生させる原因となった。