教科書的に説明すれば、輸出の増加で稼いだ経常収支の黒字は、一般に資本収支の赤字でファイナンスされ、その差額が外貨準備の増加となり、通常、外貨準備というときは、そのストック額をさす。外貨準備が増加するのは、輸出で稼いだドルを海外投資に運用することなく、銀行に持ち込んで円に両替してもらったときである。銀行に持ち込まれたドルは、日本銀行(日銀)に銀行から持ち込まれ、日銀は、銀行の要求に応じて、ドルを円に交換する。そうして積みあがったのが外貨準備である。したがって、輸出で稼いだドルをそのまま国際金融市場で運用すれば、外貨準備はまったく増加しない。日本の外貨準備は、アメリカの短期国債というかたちで保有されることが多く、外貨準備のまま保有しているわけではない。見方を変えれば、民間の金融機関や企業が稼いだドルでアメリカの国債を買えば、外貨準備は増加しないが、日銀に持ち込まれたドルを国債で運用すれば、外貨準備が増加したことになる。近年、日本や中国などのアジアの国々の外貨準備高が多すぎることが国際的に批判されている。