国際通貨とは、貿易や金融などの国際取引に利用される通貨を指す。ここでの国際取引での機能とは、交換価値の単位としての価値尺度としての機能、取引のための決済機能、資産価値を維持するための価値貯蔵機能をふくむ。理想的には、この三つの機能を兼ね備えていることが望ましいが、現実には必ずしも三つの機能を兼ね備えなくても国際通貨と呼ばれることもある。現在、国際通貨と呼ばれるのは、ドル、ユーロ、円、ポンド、スイスフランなどである。一方、基軸通貨とは、国際通貨の中で、特に国際通貨体制の中で「軸」としての機能を果たす通貨のことを指す。基軸通貨国は、上記の国際通貨としての機能のほかに、金融危機や世界恐慌などに際して、「最後の貸し手」として、経済的困難に陥った地域や国に対して流動性を供給する機能が暗黙のうちに期待されている。歴史的には、基軸通貨と呼ばれるのは、金、ポンド、ドルなどである。金が基軸通貨であった時期を金本位制、ブレトンウッズ体制によってドルのみが金と交換可能であった時期を金・ドル本位制と呼ぶ。