複数の国家が、共通通貨を採用した経済圏をつくること。域内の特定の国家の通貨を採用することもあるし、新たに単一通貨を発行することもある。単一の共通通貨ユーロを発行している欧州通貨統合は後者の典型的な例といえる。長所は、域内の貿易や金融取引に携わる人々が、為替リスクをこうむる恐れがなくなり、域内の経済活動が活発化することである。短所は3点ほどある。まず、独占的な貨幣当局のもとで貨幣発行されることになり(欧州通貨同盟の場合は、欧州中央銀行が独占的に共通通貨ユーロを発行している)、各国は金融政策を放棄せざるを得ない。また各国間で生産性の格差が生じた場合、為替レートによる調整はもはや不可能になるので、域内で経常収支の不均衡が生じ、所得格差が広がりやすい。最後に、統一通貨の国際的信用を背景にして、外債を発行することができるので、放漫な財政運営に陥りやすいため、域内で、財政運営に関してなんらかの制約を課しておく必要がある。