経常収支は、「貿易・サービス収支」と「所得収支」と「経常移転収支」を足し合わせた合計額である。貿易・サービス収支は、貿易収支とサービス収支からなり、貿易収支は輸出から輸入を引いた額である。所得収支は、海外に投資した資金から得られる利子所得や配当所得である。日本は長年、経常収支黒字国であるが、収支の構造は変化しつつある。これまで経常収支の黒字を支えていた貿易収支の黒字額は近年減少しており、所得収支の黒字のほうが上回るようになり、必ずしも「貿易立国」とはいえない状態になりつつある。2011年には、貿易収支は赤字を計上している。経常収支黒字は、民間部門による海外資産の取得である資本収支赤字と、政府部門による海外資産の取得である外貨準備増減の赤字でファイナンスされる。経常収支黒字は必ずしも外貨準備の増加を意味しない。資本収支の赤字に計上されるのかあるいは外貨準備増減の赤字に計上されるかは、海外資産の取得を民間が取得したのか、政府が取得したのかによる。