金融危機や経済危機のために信用が収縮し、金融機関が流動性不足に陥った時に、中央銀行や国際機関(IMF〈国際通貨基金〉など)が、最後の貸し手として資金の供給を行うことをさす。緊急の流動性の供給によって、金融危機の拡大の防止をねらいとしている。日本銀行が実施する場合、日銀特融と呼ぶ。戦後の日本では、40年不況(昭和40年不況、1965年)の際に経営危機に陥った山一證券に対して日本銀行が無担保で融資をして、金融危機の発生を避けようとした。20世紀初頭、中央銀行制度のなかったアメリカでは、1907年の金融恐慌にともなう信用収縮が厳しい不況をもたらしたという反省をもとに、最後の貸し手機能を担える主体の存在が必要という認識が高まり、13年に現在の連邦準備制度(FRS)が確立した。国家の破たんであるソブリン危機に際しては、他国の中央銀行や国際機関が最後の貸し手として救済にあたることがある。97年のアジア通貨危機の際には、通貨危機に陥ったアジア諸国に対して、IMFが中心となって緊急融資を行っている。