2011年の10月31日の早朝、ニューヨーク外国為替市場で、円相場が一時、1ドル=75円32銭まで上昇するなど、かなりの期間にわたって持続的に円の対ドル相場が80円を超えた現象をさす。「円高」とは、外国為替市場で、外国通貨に対して円の価値が高くなっている状態をさす。大きな災害が起こった国の通貨価値は経済不安から下落するのが一般的であるが、予想に反して、3月11日に起きた東日本大震災の直後、円高が進んでいる。今回の円高は、日本経済の将来性が評価されたというよりも、欧州債務危機(ヨーロッパ債務危機)やアメリカの景気低迷などの外的要因のために、投資家によって比較的信用のおける通貨である「円」が買われたことによるとされている。円高によって、輸入品価格が安くなるというメリットもあるが、急激な円高は、輸出企業に打撃を与えることになる。これによって、生産拠点を国内から海外へ移す直接投資が加速化し、国内雇用の減少と製造業の衰退をもたらす空洞化現象が進むことが懸念されている。